2018/10/05

知っておきたいタートルネックの歴史とその素晴らしさ

FASHION ALL

こんにちはてんてんです。

これからの秋冬の季節に着こなしていきたいタートルネック

今の時代、女性も男性も気軽に着れる便利なアイテムになりました。

フォーマルにもカジュアルにも着る事が出来るので幅広く活用する事が出来ます。

その現代の皆が着れるタートルネックですが、その歴史はとても古く、長期に渡って着用されてきました。

タートルネックの原型と言われる形が生まれたのは何世紀も前の事でファッションとは程遠い用途の為に生まれてきました。

タートルネック歴史

ニット タートルニット リブ/クロスタートルニットプルオーバー

タートルネックの原型は鎖帷子や鎧から首周りを保護する為に生まれたもの

中世の「チェーン・メイル(Chain Mail)/鎖帷子(くさりかたびら)」や「プレートアーマー( Plate Armor)/甲冑(かっちゅう)」は知っていますか?

チェインメイル
引用:NEWSLAND

・鎖帷子

12世紀頃から敵の斬撃から身を守る為に鎖を服のように作り身にまとう防具です。
槍や矢等の突撃には弱いので13世紀代から初代の甲冑が生まれます。

プレートメイル
引用:https://www.liveinternet.ru/users/3287612/post438486382/ 

・オスマン帝国の甲冑で、甲冑のデザインとしてはほぼ最終形態

マスケット(火縄銃の類)やボウガンから身を守る為に金属を分厚くした結果、甲冑が全身だと重すぎて動けないので胴体を中心としたデザインになっています。

マスケット銃

当時の戦士や騎士達は鉄製の甲冑を身にまといお城の警備や戦に望んでいましたが、身を守るものとは言え決して軽いものではありませんでした。

甲冑に関しては全身で約25kg~50kgと、首や肩に着て歩いているだけで首回り等に傷や痣が出来てしまいます。

重さだけではなく、甲冑の形が体の合わないと全身の節々が痛くなったそうです。

靴擦れですらあんなに痛いのに、命を懸けた敵との戦闘に痛みで負傷したまま挑まなければなりません。

そこで首の周りが突出したハイネックデザインの「クロス・アーマー」(布製の鎧)が出来たと考えられていて、これが今のタートルネック(ハイネック)の起源、原型だと言われています。

クロスアーマー
引用:パンタポルタ

またこの「クロス・アーマー」は打撃等の物理的打撃や、ヨーロッパの寒い地域としては防寒の意味も大いに含んでいたと思われるので、現代のタートルネックに今なお通ずる所でもあります。

オウクトン (auqueton)、ギャンポワゾン (gamboison)、ジポン (gipon)、ダブレット(doublet)ギャンベゾン(gambeson)等、年代や国によって呼び方は様々でした。

甲冑自体は第一次世界大戦まで一部で使用されていたという説もありますが勢力的に防具として戦に甲冑が使われていたのは

16世紀頃までとされていて、クロス・アーマーは少なくとも400年近く形を変えながら着用されていたのではないかと思います。

この時点ですでに「stand collar(スタンドカラー/立襟)」的な襟が出来上がっていますね。

「スタンドカラーライトダウン」という商品名で売っていそうです。

J.FERRYのダウンと比べてみてもそのデザインは当時から理にかなっているという事ですね。

ダウン
近日発売予定WEBSITE

戦いの為の形からファッションの為の形「プールポワン」へ

中世に戦いの為に生まれた「クロス・アーマー」ですが、その用途は世紀が変わるにつれて徐々にファッション性のある衣類、「プールポワン」等へと変わっていきます。

クロス・アーマーと言う鎧の下に着るも防具と共に、14世紀頃には男性がファッショナブルな普段着としても貴族から庶民まで着る時代を飾る象徴的な服になっていきました。

16世紀にもなると本格的に敵の攻撃や傷や痣から自信を守ると言う本来の用途から、ファッショナブルな用途に変わり始めます。

プールポワン
引用:wiki

・ Giovanni Battista Moroni(ジョヴァンニ・バティスタ・モロニ) Portrait of a Man holding a Letter (手紙を持った男)

プールポワン
引用:wiki

・イングランド女王 メアリー1世

16世紀~17世紀にかけて折り返した外せる様々な襟(ラフ)がつく

世紀が重なるにつれそのデザインは様々な形を見せます。

皆さんが映画や漫画、絵画で見る首周りにボリュームのある中世独特のファッションは印象的で、昔のヨーロッパ等のファッションを想像するのであればこの辺りをイメージするのではないでしょうか。

襟の先祖でもある「ラフ」という装飾を用いた中世独特のファッションです。

フォーリングバンズ
引用:wiki

フォーリング・バンズ【Falling Bands】

首周りを垂れた状態で一周するようなデザインをフォーリング・バンズと言います。

ラバ
引用:MIKIMOTO

ラバット/ラバ【Rabat】

近代の襟を大きくしたようなデザインが特徴的なものをラバットと言います。

ラフ
引用:MIKIMOTO

ラフ(Ruff)

形状、シルエットがしっかりしてボリュームがある形で首周りを一周しているものをラフと言います。

元々ラフの様な取り外せる襟がついたのは「ダブレット」や「プールポワン」の襟口が汚れないようにする為

それぞれの世紀にそれぞれ混在はしていましたが、元々はダブレットやプールポワンの汚れやすい首回りをラフで保護し、取り外して洗えるという事が目的として開発されたと言われ

それが発展して装飾要素も加えられたと考えられます。

そもそも何故あんなにも生地がビシッとなるのか

実際の映像や写真がある訳では無いので本当に絵画のようにビシッとなっていたかは分りませんが、ラフの綺麗な形状は「でんぷん」で固めて維持させていたそうです。

日常的にあの形状を維持することは庶民には非現実的で、手間もお金も掛かる物でした。

その理由もあって次第ににラフの様な装飾は富と権力、地位の象徴として描かれるようになりました。

ちなみにレース生地は16世紀当初に開発された新しい生地なので映画や漫画でレース生地が使用されていた場合は16世紀以降の話だという事が分かりますね。

18世紀後期以降のプール・ポワン(ダブレット)だった服は本格的に様々な形に変化

以前のタートルネックの原型となるプールポワン(ダブレット)は今皆さんが親しんで来ているタートルネックとはスタイルもシルエットもまるで違います。

本格的に現代の見た目に変わっていくのは19世紀後期位からで、その変化の速さは目まぐるしいモノだったと思われます。

この時期からプールポワンとシャツ、そしてラバやラフを一体化させたワイシャツの様な生地感の物に変わっていきます。

17世紀の前期位から襟元についていたラフが無くなり始め、「クラヴァット(クロバット)」(12世紀位からあるネクタイの先祖でスカーフの様な物)が主流になり始め、19世紀にかけて一気に近代のファッションに近づきます。

クラヴァットはリヴァイ兵長も首に巻いてるあれです。

バッハ
引用:wiki

・Ludwig van Beethoven(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

アールグレイ
引用:wiki

19世紀前期

・Charles Grey 2nd Earl Grey(第2代グレイ伯爵 チャールズ・グレイ 政治家)
ちなみに紅茶の「アールグレイ」は紅茶好きだった「Earl Grey(グレイ伯爵)」から由来していて、様々な諸説がありますが「何かしらの経緯で味わった、中国の紅茶の味を再現した(させた)」のが発祥と言われているそうです。

19世紀前期期  ダゲレオカメラ発明

エドガー

19世紀中期

Edgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)

昔のロンドン

引用:spitalfieldslife

・19世紀後期ロンドン

数世紀の時を超え様々な形に進化しながらタートルネック(Polo Neck)になる

軍医
引用:Kansas Historical Socieity

・1870年代米国

(左)タートルネックの原型の様なプルオーバーを着る男性

当初タートルネックは作業員や軍隊の男性が着る服でした

19世紀中期頃まで男性はワイシャツにクラヴァットやネクタイが主流でした、また労働者階級もシャツを着ている事が大半で、19世紀後期辺り(1890年代位)から開発されたのではないかと考えられます。

20世紀前期位までのタートルネックは主に作業服等で着用され、米国海軍のユニフォームの一部としても着られていました。

当時のタートルネックはファッション的な要素よりも防寒等の機能性により愛用されていました。

しかしこれは決してネガティブな事ではありません。タートルネックが主に作業服や軍服等で使用されていたと言う事は「クロス・アーマー」(布製の鎧)が出来た時と同じで、12世紀から数世紀経ちタートルネックとして生まれ変わっても、人を守る為に生まれたデザインと言う事が分かります。

労働階級

引用:spitalfieldslife

・19世紀後期ロンドン

労働階級

引用:http://www.shorpy.com/node/9890?size=_original

・19世紀後期コロラド州

労働階級少年

引用:MUN

19世紀後期

労働階級少年

引用:https://pda.diary.ru/~liriannaakastar/p111757331.htm?oam

20世紀前期米国労働者

労働階級

引用:https://www.vintag.es/2012/09/old-photos-of-americas-children-1850.html

20世紀前期米国労働者

タートルネックは作業着からファッションアイテムとして進出

20世紀中期になり、タートルネックは労働者階級のユニフォームからお洒落なファッションとして業界に大きく貢献することになります。

俳優、ファッションモデルや学者、芸術家までもがタートルネックを着用するようになり、今なおタートルネックの印象は芸術的で知的と言えます。

ついに20世紀中期には女性もタートルネックを着るように

この頃(1940-50年)女性のファッションもボディラインのしっかり見えるクロップドセーターが流行っていた時期でした。

プルーバー先祖
引用:retrowaste

そして20世紀中期、ついにタートルネックはユニセックスのプルオーバーになります。

オードリーヘップバーン
引用:wiki

オードリー・ヘップバーン

本名 オードリー・キャスリーン・ラストン(英: Audrey Kathleen Ruston)

それまで男性が主に着ていたタートルネックは次第に女性も着用するようになり、映画等でも衣装として使われ、タートルネックの印象は飛躍的に良い方向に進んでいき

1960年代初期には「プレッピースタイル」としても注目され、タートルネックはファアッションの世界に残る重要なスタイルと成りました。

タートルネック( turtle neck)?ポロネック(Polo neck)?

・アメリカ「タートルネック」

読んで文字通り、カメが甲羅から顔を出している様子に似ている事から「タートルネック」と呼ぶようになりました。

・イギリス「ポロネック」

1860年代頃イギリスのポロプレイヤーが襟元が折り返されたトップスをユニフォームにしたことにより襟元が折り返されているタートルネックを「ポロネック」と言うようになりそれが定着しました。

何百年経った今も人の首回りだけでは無く、心までを守る

タートルネックは攻撃や寒さだけから私達を守ってくれる訳ではありません。

タートルネックは時に保身的で時に主張的、そして着た人の首回りを温めることにより落ち着いた冷静な気持ちにもさせてくれる強力な力があります。

12世紀から人は首を守るという事が着用者にとってどの様な恩恵があるのか、その本質を理解していたが故に今変わらずタートルネックがある理由なのだと思います。

数百年経った今でも本質的には何も変わっていないのです。

「タートルネックはただなんとなくお洒落でタートルネックになった」と言う訳ではなく「私たちを守る」という事を突き詰めた結果タートルネックというデザインになりました。

「合理的、そして理に適ったという形がタートルネック」という事なのです。

数々の著名人が好んでタートルネックを着るのはデザイン性だけではない理由があるからなのだと私は考えています。

*この記事は諸説や文献調査により記述されています。実際の歴史や事実と異なる可能性もありますのでご了承ください。

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